京都工芸繊維大学

3-2.キシロースを糖源としてエタノール発酵する微生物の育種

 木質バイオマスから遊離してくるグルコースばかりでなく、キシロースもエタノールに変換することにより、エタノールの生産性を向上させることが望まれています。アルコール発酵に適した酵母であるSaccharomyces cerevisiaeはキシロースを代謝できませんが、キシルロースを代謝することは可能です。そこで、他の酵母からキシロースリダクターゼとキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が S. cerevisiaeに導入され、キシロース代謝酵母が作られています。しかし、キシロースの菌体内への取り込みはグルコーストランスポーターに依存しており、グルコース共存下ではグルコースの方が先に取り込まれ、キシロースは後から取り込まれるため、キシロースを完全に利用しようとすると、発酵時間が長くなります。

 私たちは、グルコースによって阻害を受けない(あるいは受けにくい)キシローストランスポーターを他の菌で見つけ、その遺伝子をS. cerevisiaeに導入することを目指しています。また、キシロースリダクターゼ〜キシリトールデヒドロゲナーゼ系は、NAD不足となって代謝がうまく流れなくなることが知られていることから、キシロースイソメラーゼ系の利用も検討しています。

 これにより、木質バイオマスを原料とした効率的なバイオエタノールの生産を目指します。

地球温暖化とバイオエタノール