>home >column >松井 圭章 >6: 2006/12/10
 

>1: 2006/09/25

>2: 2006/10/08

>3: 2006/10/16

>4: 2006/11/09

>5: 2006/11/25

>6: 2006/12/10


こんにちは。さて,今回が最後になりそうです。そこでこの3ヶ月をまとめてみようと思います。

ここに来てはじめの頃,聞いたのが「ここはカタルーニャだ。」という言葉。
「いや,そうだけどスペインでしょ?」と聞き返すと「ああそうだ,でもカタルーニャなんだよ。」
どうもそういうことらしいのです。 この街の人の気持ちはこの言葉に集約されています。この地方ではカタルーニャ語が話されていることは以前書きました。この地の人々はそれだけカタルーニャ人として強くアイデンティティを持っているということです。カタルーニャ語はスペイン語やイタリア語,フランス語などと同じラテン語から派生した言語であるためそれらの言語に似ています。スペイン語との違いで最も大きいのは発音だと思います。スペイン語の母音の数は5つでほぼ日本語と同じで日本人にとってはさほど難しくはないですが,カタルーニャ語は母音の数が7つと多いのです。また,単語の最後に来る子音やhを発音しない点はフランス語に共通すると思います。一方,スペルはスペイン語と近いので―フランス語とも近いと思うけど―より理解が簡単です。そのため,書く,話す,聞く,読むのうち読むことだけはほかに比べよくできると思います。

買い物をしたり,注文したりするときにはカタルーニャ語で話かかけられることがよくあります。バルセロナは外国人観光客が多いので僕の顔を見て英語で話しかけてくる人もいるがテラーサではカタルーニャ語で話されることのほうが多いです。その場合は聞きなおすとスペイン語で答えてくれます。実際はほぼすべてのカタルーニャ人がスペイン語とカタルーニャ語のバイリンガルで,生活していくうえで重大な問題はありません。しかし,この地方の人たちにとってカタルーニャ語を話すことは自分たちの存在を主張することであり,喜びなのかもしれません。そのため社会的に成功するためにはカタルーニャ語を使えるようになることが必要だと思いました。日本ではいろいろな民族が混じるということがなかったので,このような事実はわずか25年前まで独裁体制が敷かれていたことと合わせて大きなインパクトでした。

研究のことは発表前のこともなので詳細には書けないけどちょっとだけ。詳しいことは,どこかで発表することになるでしょう。今回の派遣の目的の1つは,2回のアンケートを行うことでした。まず最初に日本から持っていった日本語のアンケートをイギリスで行われている英訳と平行してスペイン語訳しました。質問内容,単語や文法など先生方の協力を得ながら進めることができました。

週末はバルセロナを初め周辺の街を訪ねてみました。このように多くの場所を訪ねることでスペインの文化を肌で感じ,五感で吸収する。根本から違う異文化を体験することで違う世界,違う考えがあることを知ることができると思います。また,異なる文化を体験することで日本について違う側面から見ることができるようになると思います。僕自身は色を研究の対象としているせいかそれとも芸術への興味から色の研究をしているのか,今となってはどっちが先なのか分からなくなってしまったけど普段から建物,インテリア,美術館などには注目しています。建物の外壁や屋根の色,また街頭や街路樹の葉の色などが寄り集まって作られるのが街の色であり,街の印象です。その色は日本のそれとは違います。この違いを作り出しているのは,スペイン人の色彩感情であり,季節感なのだと気付いたとき,こうして街を見ることが勉強につながると思いました。

今回はスペインの大学への派遣ということで滞在中はずっとスペイン語で話すことになりました。そのため英語のレベルは上達するどころかスペイン語に侵食されているような気もしますが,さまざまなバックボーンの人たちと知り合い,その人たちの考え方に触れることはまた1つ自分の成長につながりました。最後に,このような機会を与えていただいたことに感謝したいと思います。

 
Copyright (C) 2004-2007 Sato Lab. All Rights Reserved.