ウイルス飛沫の流体力学的拡散

インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの感染症は,咳により放出される飛沫やエアロゾルに感受性者が曝露されることで感染します.集団の中で感染者が咳をした場合を想定し,飛沫やエアロゾルの過渡的な運動をシミュレーションしました.咳が作り出す渦輪と人間の集団行動との相互干渉により,感染リスクが大きく変化することが分かりました.また,基本的感染症対策である「ソーシャルディスタンス」や「咳エチケット」の重要性も改めて確認できました.

  • 世界初!集団行動と飛沫の移動を動的解析!
  • 基本的にソーシャルディスタンスは重要
  • 基本的に咳エチケットは重要
https://doi.org/10.1111/ina.13131

マイクロプラスチックの捕集

マイクロプラスチックなど,大きさが小さく,かつ,密度が水に近い物体は,フィルタでの濾過が困難です.効率的な濾過の方策を創出するためには,電気化学的な表面力に加え,力学的な運動を正しく理解し,予測する必要があります.微小粒子の運動と捕集効果の力学を説明することに成功しました.

  • 世界初!微小粒子の捕集を力学的説明!
  • 角部での捕集効果 大
  • よどみ領域での捕集効果 大
https://doi.org/10.1016/j.ces.2022.118163

回転体に駆動される液体の運動

バームクーヘンを作っていると,生地の厚さ調整が難しいと感じたことはありませんか?生地の硬さ(粘度)や巻き取り速度,容器の形状によって,バームクーヘンの品質が大きく変わります.数値計算を用いることで,(非現実的なもの含め)様々な条件で現象を観察し,法則性を見出しましました.エンジン内の油膜厚さの予測にも活用できます.

  • 世界初!流動状態を予測!
  • ガリレイ数(粘性と重力のバランス)
  • フルード数(遠心力と重力のバランス)
https://doi.org/10.3811/jjmf.2020.022
https://doi.org/10.3811/jjmf.2021.016

フードプロセッサの振動予測

フードプロセッサを使っていると,中身が暴れて危険だと感じたことはありませんか?このとき,フードプロセッサの中では,液体がせり上がり,その後落下する現象が繰り返されています.再現性の高い実験系で精緻な速度計測を行った結果,気液の分布が周期的に変化する振動の力学を説明し,危険発生を予測することに成功しました.

  • 世界初!危険な運転状態を予測!
  • 高速旋回流の速度場計測
  • フルード数(遠心力と重力のバランス)
https://doi.org/10.1103/PhysRevE.104.065104

分子タグによる非侵襲速度計測

光化学反応により退光させた蛍光分子をタグとして,粒子懸濁液の液体速度を計測しました.一般的に,液体の速度を計測するためには,トレーサ粒子の運動を解析し,速度を取得します.しかし,粒子懸濁液にトレーサ粒子をいれても,これらを正確に区別できません.分子タグを用いることで,液体の厳密な速度計測を実現しました.

  • 世界初!高濃度粒子懸濁液の速度を計測!
  • 光化学反応分子タグ
  • 混相流の速度場計測
https://doi.org/10.1007/s00348-019-2794-2
#

ギネスビールが描く模様の力学

ギネスビールをコップに注ぐと,泡が自発的に模様をつくります.この美しい模様はビール愛好家以外にも,科学者達の心を惹きつけ,模様が発生する仕組みは半世紀以上も未解明となっていました.我々が「模擬ギネスビール」を作り,再現性の高い実験を行った結果,模様とは,重力流の不安定により生じる転波であることを示しました.

  • 世界初!模様の不思議を解明!
  • 坂道で雨水が作る模様と同じ(転波)
  • 透明模擬ギネスビールのレーザー計測
https://doi.org/10.1038/s41598-019-42094-0
https://gfm.aps.org/meetings/dfd-2019/5d790905199e4c429a9b2c83 https://doi.org/10.1103/PhysRevE.103.063103
#  
#  
#  
#  

水車の土砂摩耗

水力・揚水発電施設の水車ロータは高速で回転する巨大構造物です.ロータとハウジングの間には数ミリメートル程度の隙間が存在し,僅かに漏れを許容した状態で運転されています.砂や泥の混入による機械的損傷を評価し理解することで,設備の寿命を伸ばすことや保守の予測が可能になります.

  • エロージョン
  • カーボンニュートラル
  • 保守サイクル最適化