Research

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かご型シルセスキオキサン核有機無機ハイブリッドデンドリマーを基盤とした固体機能材料の開拓

かご型シルセスキオキサンはシリカやゼオライトの構成単位に似た剛直な立方体の8個の角にそれぞれ官能基を有する構造のデンドリティック分子ですが、 煩雑な合成を必要とするデンドリマー分子と比較して合成の簡便さからその工学的意義は大きいと考えられます。
かご型シルセスキオキサンを核とする種々の機能性官能基を有する有機無機ハイブリッド型デンドリマー分子の合成を行い、 通常のデンドリマー分子よりも極めて剛直な核構造を有していることを生かして、エネルギー関連、電子・光学特性を有する固体機能材料への応用を目指した研究開発を行っています。
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単一シルセスキオキサン分子透明材料の開拓

分子レベルで構造が制御されたシルセスキオキサンとして、単純なアルキル鎖を有するかご型シルセスキオキサン(POSS)の多くは結晶性の高い単一化合物であるため成形加工性に乏しく、 有機高分子をマトリックスとしたフィラーや、ポリマー側鎖への導入、または架橋剤を用いたネットワーク構造形成などへの利用が開発されているが、 POSS単独での材料応用はこれまでほとんど達成されていません。
我々は対称性を低下させることで結晶化が抑制され単一のPOSS化合物のみで透明膜が得られるのではないかというコンセプトのもと、 ダンベル型またはスター型POSS誘導体を合成することで、単一のPOSS化合物が低温処理による成型加工可能な熱可塑性材料と成り得ることを初めて示しました。
また、結合部位に剛直なπ共役系ユニットを導入したダンベル型POSS誘導体は発光性透明フィルムとなることを見出しました。
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機能発現を指向した有機ヒ素化学の開拓

高周期15族元素であるヒ素原子を中心としたホモ環状化合物とアセチレン誘導体とのラジカル交互共重合体および環状二量体付加物を世界で初めて合成することに成功し、 これらを用いて種々の遷移金属への配位や反応性を検討することでこれまで研究例のほとんどないヒ素含有有機化合物および金属錯体の機能探索を行っています。
最近、環状二量体付加物であるcis-1,4-ジヒドロ-1,4-ジアルシニン(cis-DHDA)を用いて得られる白金(Ⅱ)錯体結晶は室温で発光しませんが、 これに塩化メチレンやトルエンなどの溶媒蒸気の吸脱着による結晶密度変化によって発光のON-OFFスイッチングが制御でき、 溶媒分子の選択性も認められる従来にない結晶系ホスト材料であることを見出しました。
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生物によって生み出される有機‐無機複合材料の人工的作成技術の創製

生物は従来の技術では達成されないような極めて高性能高機能な有機-無機ナノ複合体を水中で極めて穏和な条件下で生み出しています。
私たちは高分子配位子とカルシウムイオンとの高分子錯体形成動的制御を基盤とした独自の手法である、 粒径、形態および安定性を任意に制御できる炭酸カルシウム-有機高分子ナノ複合微粒子作製法を開発し、バイオメディカル分野などへの応用を目指しています。
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π共役分子の混合原子価状態積層化を基盤とした有機導電材料の開拓

電荷移動錯体結晶が低次元金属的導電性を発現する要因であるπ共役系分子の混合原子価状態積層化を分子間相互作用として利用できるかという命題に挑戦しています。 その理解と指針によって、従来にない概念と方法による分子材料の高次組織化による革新的な共役系有機高分子材料を創製し、 導電性ナノファイバーや導電性フィルムなど革新的な有機導電性材料への応用を目指しています。
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