メタマテリアルとは?

メタマテリアルというのは,材料そのものではなく, 従来の材料特性にはない特異な電磁波伝搬特性を実現する人工構造体のことです. 例えば,実効屈折率の値を負にすることもできます.また,非現実的と思われるかもしれませんが, このメタマテリアルに基づいてクローキング(透明マント)の原理が提案されていて 実用化をまじめに検討している研究グループもたくさんあります.

通常の材料では,原子/分子から構成されていて,それらの平均的な性質として, 材料特性,例えば構成関係として誘電率,透磁率が決まります. それに対して,メタマテリアルでは,伝搬する波長に比べて十分小さな単位セルと呼ばれる 既存の金属や誘電体からなる微小構成要素の集合体で構成されていて, 単位セルの形状,配置などの構造設計により,電磁波の伝搬特性を人為的に操作することができます. 例えば,実効誘電率や透磁率の値を0にしたり負の値を持たせたりすることができるようになります. このとき,物理現象を簡単化して捉えるために,古い学問と思われがちですが, 回路理論,伝送線路理論を用いて考えることが重要となります.

私たちの研究室では,現在主にマイクロ波領域でメタマテリアルを扱っていますが, この概念はスケーラブルなので,マイクロ波領域に留まらず,テラヘルツ,光領域に亘って 適用することができ,現在世界各国の電気・電子工学,応用物理の分野の多くの研究者・技術者たちが このテーマに取り組んでいます.


Last update: April 5, 2012

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