磁性体を用いたメタマテリアル
非相反メタマテリアルとその応用 ―ビーム走査アンテナ―

この研究課題では,磁気回転異方性をもつ磁性体を用いることにより 順方向と逆方向で伝搬特性の異なる非相反性(非可逆性)を示すメタマテリアルの研究に取り組んでいます. 特にマイクロ波領域では,磁性体材料であるフェライトを用いることにより同機能を得ることができます.

最近の研究成果では,電磁波が順方向に伝搬する場合,正の実効屈折率を示すのに対して, 逆方向に伝搬すると負の屈折率を示す,従来にない新しいタイプのメタマテリアルを提案しました. もちろん,実験的にも確認されています.

ちなみに,実効屈折率が正の場合,電磁波の運ぶ伝送電力の向きと, 波面の流れ(波数ベクトルの向き)が同じであるフォワード波伝搬となるのに対して, 実効屈折率が負の場合,互いに逆向きの関係となるバックワード波伝搬となります.

また,この非相反メタマテリアルを用いることにより,単純な一本の伝送線路共振器であるにもかかわらず, 電磁界分布が進行波共振器のような振舞いをする新しい共振器を実現しました. この共振器の特徴は,共振周波数を固定したまま共振器のサイズを自由に変えられることです. これはリング共振器に代表される従来の進行波共振器では実現できなかったことです. 用途としては現在探索中ですが,その一つの可能性として ビーム走査アンテナへの応用に関する研究が進められています.


なお、過去の研究では、順方向は負屈折率を示して信号はそのまま透過するが、 逆方向は信号を通さない(吸収体として動作する)構造体も取り扱っておりました.

研究成果発表



Last update: April 5, 2012

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