7. Water Dynamics in Plants
V.MESUREMENT OF PLANT WATER      ('99.3/8,神田)

B.Hydrodynamic Aspects of Water Potential
1.hydraulic Conductance
 葉の水ポテンシャルは、土壌中に十分な水があっても減少しうる。組織、蒸散の要求が、導管組織に戻すよりも葉からより多い水を去らさせている。根の表面から葉への水の道の流体コンダクタンスは葉の水ポテンシャルにおいて強い影響を持つ。流体コンダクタンス(K)は、道を横切る水ポテンシャルの変化(等式7.8)によって分離された木部の限られた区画を通る全ての水の流束速度として定義された。流体コンダクタンスを測定するために水ポテンシャルの勾配、容積測定の水の流束を知らねばならない。

 茎部分の流体コンダクタンスがin situで測定されるなら、太陽下の群落の葉のΨtotal値と蒸散していない葉(茎の部分の根元に知かい)のΨtotal値の間の差は、茎部分を横切るΔΨ値として用いることができる。蒸散しない葉は、たいてい夜の前に葉をプラスチックやホイルでくるんで、覆うことによって確立できる。全ての植物の流体コンダクタンスが測定されるなら、ΔΨ値は、根元のΨtotalと太陽下の群落の葉のΨtotalの間の差である。根の水ポテンシャルは、夜明け前の植物の水ポテンシャルを測定することで予測することができる。これは、予測だけで、根の表面の水ポテンシャルが夜明け前と流体コンダクタンス測定の時間で減少するからである。根の水ポテンシャルは、テンシオメーターで土壌吸引力を測定することにより、いくつかの研究で予測されている(Salienda and Meinzer 1989)。

 植物を通る水の総流束(J)はいくつかの方法で測定されうる。直接的な茎の流束の測定は、熱波動の茎流束計器の使用で可能になる(Fig.7.14)。本質的に、二つの熱電対は、茎または枝にそって、二つの異なるところに配置される。二つの熱電対の間の熱源は急速に木部システムを熱する。熱は木部内の水の流束によって上のセンサーに、組織の熱輸送によって下の熱電対まで運ばれる。二つの熱電対のための熱波動の到達時間の違いが水流束の計算に用いられる(Cohen et al.)。全ての植物の水の流れはまたポロメーターで蒸散速度を測定することによって計算できる(以下に述べる)。葉面積ごとの蒸散は全ての流れを計算するために総面積で掛けた。もし、葉の総数が均等な微気象で、年齢も均等なら、茎の流れの測定とポロメーターの測定ははっきりと一致する(Schulze et al.1985)。しかしながら、このような条件は自然系ではめったに起こらない。ずべての水の流れを測定するための三つの技術は、エネルギーバランスの等式(Abdul-Jabar et al.1984)の使用による。これらの間接的な計算は、全ての入ってくる放射、葉の吸収や放射の特性、大気蒸気圧、葉と大気温度の異なりを必要とする。

 完全な植物における流体コンダクタンスのどの測定でも、水ポテンシャルの勾配と全ての水流束の両方がいる。それ故に、これらの技術の正確さは水ポテンシャル、蒸散、茎の水の流れの計算における誤りによって制限される。しかしながら、木部の流れる部分の流体コンダクタンスは高い段階の正確さ切断された茎の部分を測定できる。茎や根のサンプルは植物から切断した。ある茎や根の端は、知られている圧力の勾配が組織を横切って固定されている間、水溶液中に配置された(Calkin et al.1985)。圧力の勾配は、圧力のチャンバー内で端を浸した水に圧力をかけたり、乾燥した端を負の吸引に置いたりすることにより固定できる(Fig.7.15)。茎や根を通って動く流動体の量は、流体コンダクタンスによる。

2.Transpiration and Leaf Conductance.

 葉の蒸散は、植物の水関係の重要なパラメーターであるのは、水が植物の外に移動している速度を定義するからである。水使用のパターンは農業システムの運営をさせるための、そして、生態系や個々の植物の水サイクルの理解するための批評である。蒸散は、substomatal空間や葉の上の乱流の空気(VPG)や葉を通る水の流れの抵抗の間の水蒸気の勾配による。それは、この等式を使うことによって近くなる。

               TR=JWV=Δwgl

TRは蒸散=JWV、Δwは、モルにおける葉と大気間の水蒸気勾配、glは葉のコンダクタンスである。

 細胞間の相対湿度を100%に近くに仮定する。このように、葉温は細胞蒸気圧(温度対飽和蒸気圧の確定された表より)を測定するために使することができ、Δwは植物から離れた大気蒸気圧を測定したり、葉の大気蒸気圧を引くことによって測定できる。流れの速度(蒸散)は、VPGと葉のコンダクタンスの積と等しいので、あるもの(蒸散やコンダクタンス)の測定は他のものを計算するために用いられることができる。

 3つの手法が、蒸散かコンダクタンスの測定に使われている。transient porometerは、葉のコンダクタンスを測定する(Fig.7.16)。チャンバー内で蒸気圧が一定になるのいかかる時間は、葉のコンダクタンスに直接、比例する。この技術は、チャンバーの正確なcalibrationに依存している。普通は、異なった気孔の区画を持ついくつかの葉身がcalibrationの技術で用いられる。葉身のコンダクタンスは、気孔数と直径から計算される。湿った濾紙は葉身の下に重ねられ、そしてチャンバー内の湿度上昇の速度が測定される。calibrationカーブは、葉身コンダクタンスとチャンバー内の湿度上昇の速度の間で作られる。

 transient porometerはいくつかの問題を持っている。第一にコンダクタンスcalibrationは温度に敏感であり、calibrationのfamilyは野外で起こりうる範囲の葉温をカバーしなければならない。第二に気孔は湿度に敏感である。しかしながら、コンダクタンスを測定するためにtransient porometerが依存している湿度の変化は気孔にコンダクタンスを変化させうる。第三に、以前のtransient porometerの多くは材料の外に設置され、それらの表面から水を吸収、放出する。そのうえ、チャンバーの空気と葉との間に十分な温度変化が存在するとしたら、水がチャンバー内や葉表面に凝縮するだろう。それらの問題は、transient porometerからとても疑わしい結果を作る。たしかに、以前のモデルは使用されるべきではない。より新しいモデルは最新化された材料を用い、そして高感度の湿度センサーはより正確である。

 Null-balance porometerはtransient porometerに対して有利であり、葉を覆う一定の相対湿度を確立する(Fig.7.17)。葉は、チャンバー内で囲まれ、乾いた空気の流れ(0%湿度)は葉の上を通り過ぎる。乾いた空気の流れの体積測定速度はmass flow aontrollerによってコントロールされ、使用者によって選ばれた特定の湿度を維持するために調節された。普通は、選択された湿度は、周囲の湿度であり、開いた空のporpmeterで、測定される。葉表面によってチャンバーに水分を加えることは、チャンバーの湿度、葉表面、チャンバーの体積、乾いた空気の体積測定の流束速度から計算できる。葉のコンダクタンスはそのうえチャンバー内の蒸散速度やVPGからも計算できる。葉のチャンバー内の空気の温度は測定されるべきであり、VPGの測定がこの差に依存しているからである。それゆえにNull-balance porometerの多くの製品は、外部の要因、温度変化の原因となることから隔離するため、測定する間、一定温度を保つために覆いを備えている。もし、境界層が計算され(たいてい湿った濾紙の葉の切り抜き型の測定によって)、葉のコンダクタンスは測定できる。

 Null-balance porometerはtransient porometerよりいくつか有利点を持っている。それらは、それぞれの測定の間、一定の湿度を維持する。測定の間の温度変化は最小にされる、なぜならそれぞれの測定の時間がより少なく、チャンバーを冷やすために内部のファンがあり、隔離の覆いがあるからである。最新のNull-balance porometerは高精度の湿度センサーを持ち(露点鏡やvaisalahumicapcapacitor)、チャンバーは水の収着を最小にする材料からなる。乾いた空気の流れは、mass flow controllerによってコントロールされ、主観のより少ない測定をさせるon-boad microprocessorによって全ての計算が成し遂げられる。広く豊富なchamber adapterは葉の形態学的な多くのタイプと共に用いるために利用できる。それらの多くの利点は、Null-balance porometerが気孔コンダクタンスを測定するための選り抜きの方法にしている。もちろん、蒸散やコンダクタンスはまたガス交換技術を通して測定されることができる。

 Null-balance porometerは一つの制限を持っていて、測定する間の葉表面の温度におけるポテンシャルの変化のためである。リーフチャンバーの内部環境は植物における他の葉の周囲の微細環境と同じではない。この違いはporometer chamber内での境界層の除去、葉と空気の間のVPGにおける変化のためである。このように Null-balance porometerによって計算された蒸散速度は自然の微細環境の葉の蒸散とは一致しない。しかしながら、葉のコンダクタンスが葉の残りのコンダクタンスと異なる理由はない。もしチャンバーの湿度が周りの空気の湿度と同じならば、蒸散速度を再計算するためにNull-balance porometerからその植物における他の葉の葉温を用いること、周りのVPGを計算すること、葉のコンダクタンスを用いることによってそれは計算できる。

 constant-flow porometerは、葉のコンダクタンスや蒸散を測定するために用いた第三番目の機械である(Fig.7.18)。この例では、既知の流れの速度で乾いた空気がporometer chamber内の葉を通り過ぎている。これは、選択した湿度を制定するために、乾いた空気速度の調節がいらない。それゆえに、それはチャンバー内を一定湿度に近付けるために葉面積を変化しなければならないか、もしくは、チャンバーの湿度が測定値の間で異なるだろう。この技術は、測定値の間で異なる湿度になるが、transient porometerよりも各測定値の湿度が安定しているので良い。他のconstant-flow porometerはチャンバーの前と後のH2OとCO2を今すぐ測定できる。この方法では蒸散とコンダクタンスがチャンバーを通る湿度の変化から計算される。これは周囲と同じ湿度になるが、チャンバーを通る湿度の変化が小さいかもしれないので、detectorは正確でなければならない。


VI.SUMMARY:

      INTEGRATED VIEW OF WATER RELATIONS

 私達は、生物物理学、細胞、水力学的な見解のなかで植物の水関係を論じることを分けてきた。この分類は便利なためだけであり、全てのこれらの水関係の見解は相互に作用する。葉の水力の抵抗における増加は苗条の水ポテンシャルにおける減少、葉のコンダクタンスにおける減少、苗条の水ポテンシャルにおけるより早い日中の変化の原因になりうる。この水関係の構成部分の相互作用は、電気回路のように土壌、植物、空気を扱うことによって観測できる(Fig.7.19)。流れの抵抗は根、茎、葉にある。根から大気への水の_ャれなので、蓄電器と共に抵抗、相互作用することによって妨げられる。もし、静電容量が大きい(組織における大量の蓄えられた水)ならば、水ポテンシャルは気孔の開放を追って、道の各部分の中でゆっくり減少するだろう、そして、それらは蒸散の開始や土壌からの水の取り込みを遅らせるであろう。

 葉組織における水ポテンシャル速度の減少は最初は葉の水不足の増大のためである。蒸散による葉肉からの水不足は植物を通って葉への水の水力学的な流れによって完全には補われないので、水不足は増大する。葉の水不足は、葉肉の膨圧ポテンシャルの減少、浸透の集中の増加を起こす。膨圧の損失速度は弾力の容積係数に依存する。容積の弾力係数が高いほど、膨圧の減少は早い。気孔は組織の水ポテンシャルの変化を感じ、特定の組織の水ポテンシャルの気孔の口径を小さくさせる。この気孔コンダクタンスの減少は蒸散を減少させ、水の水力学的な輸送は蒸散に比べ増加し、細胞の水不足の減少と細胞の膨圧の増加の原因になる。

 植物の水関係の様々な見解の間で、想像できる起こりうる相互作用のシナリオはほとんどない。組織の水ポテンシャルの単純な測定は、植物の水関係の生態を理解するためには全く不十分である。それは、種の水関係の特性を理解するために水力学、根の表面積と葉面積の形態学的な相互関係、気孔の調節、細胞の水関係の特性の統合した見方をしなければいけない。

The Physiology of Plants under Stress (E. T. Nilsen & D. M. Orcott)
7. Water Dynamics in Plants
Study-review outline

1999年3月26日 担当:はんば

Biophysical characteristics of water
Cohesive properties
1. 水の凝集性は、水分子の水素結合によって生じ、水の溶液に特有の高い表面張力を生み出す。
2. 水の大きな表面張力と粘着性のため、毛細管現象によって水は上昇するが、ほとんどの植物では、毛細管現象によって水の移動の大半がになわれることはない。

Heat properties
1. 水の溶液は、他の水以外の溶液に比べて蒸発熱や比熱が大きい。
2.  比熱が大きいため、水は熱のバッファとして優れている。また蒸発熱が大きいため、蒸散によって葉は効果的に冷却される。

Dielectric constant
1. 誘電率は、溶質が分離した状態を保つために必要な溶媒のキャパシティを定義する。
2. 水の誘電率は高い:従って、水の溶液は極性分子やイオンの溶媒としてすぐれている

Chamical properties
1. 溶液の化学的ポテンシャルは、その周囲の環境に関係し、溶液の拡散の率と方向をきめる。水の化学的ポテンシャルは、水ポテンシャルとして定義される。
2. 植物生理学においては、水ポテンシャルは、圧ポテンシャル、浸透ポテンシャル、重力ポテンシャル、マトリックポテンシャルからなる。
3. 圧ポテンシャルは、溶液の静水力学的な圧力。細胞の中の溶液では、圧ポテンシャルは膨圧または膨圧ポテンシャルとよばれる
4. 浸透ポテンシャルは、極性を持った基質やイオンが溶液に溶解することによって生じる
5. マトリックポテンシャルは、水がいろいろな物質の表面や巨大分子と接触するときに、水の粘着性によって生じる
6. 重力ポテンシャルは、基準点(通常は海面)に対する溶液の高さでおもに決まる

Cellular aspects os water potential in plants
1. 植物細胞の水ポテンシャルは、溶液の水ポテンシャルと基準となるポテンシャル(純水の水ポテンシャル)との差を、水のモル体積分率で割ったものとして定義される
2. 細胞の水ポテンシャルは、通常、静水力学的な圧力と、浸透濃度によってのみ影響される(重力ポテンシャルとマトリックポテンシャルはあまり重要でない)
3. 植物中の水は、シンプラストの水(細胞膜の内側)とアポプラストの水(維管束系、細胞壁、細胞間隙)にわけられる
4. 水はシンプラストとアポプラストの間を自由に移動し、両者の水ポテンシャルは通常は等しい。しかし、アポプラストの水ポテンシャルに寄与する主な要因(負の圧力)と、シンプラストの水ポテンシャルに寄与する主な要因(浸透濃度、正の圧力)は異なっている

Osmotic potential
1. シンプラストでは、4つの化合物が浸透コンポーネントの大部分を占める:無機イオン、有機酸、非タンパク性アミノ酸、簡単な(構造の)炭水化物

2. 無機イオンと有機酸は液胞内では濃度が高くなるが、原形質では高くならない
3. 非タンパク性アミノ酸(グリシンーベタイン、プロリン)、簡単な(構造の)炭水化物(シュークロース、ラフィノース)は、原形質で高い濃度になりうる
4. 原形質の水ポテンシャルはマトリックポテンシャルの影響を受けるため、液胞の浸透ポテンシャルは原形質より低い。原形質と液胞の水ポテンシャルの総計は等しくなるはず。

Pressure potential
1. 液胞と原形質の静水力学的な圧力は等しく、正の値
2. 細胞壁の中ではマトリックポテンシャルが高いので、静水力学的な圧力は負の値
負の静水力学的圧力は、維管束系でも生じるが、シンプラストではおこらない
3. 細胞の膨圧は、細胞壁の弾性にも依存

Gravimetric potential
1. 重力ポテンシャルは高さ10mで0.1MPaにしかならないので、高木でのみ重要

Matric potential
1. 電荷を持つ表面が凝集しているため、細胞壁の水では、マトリックポテンシャルは重要。
2. 細胞の水ポテンシャルでマトリックポテンシャルが重要になる場合は、組織が脱水したり、液胞中に粘液が多い場合

Hydrostatics of the plant system
Soil-Plant-Air-Continum
1. 水は、植物の中を、根の表面から葉肉細胞まで、連続した柱になって移動する
2. 水の移動の原動力は、大気と土壌の間の水ポテンシャルの差。これが土壌-植物-大気連続体モデルの基礎
3. 毛細管現象や浸透、マランゴニ対流などのその他の力も木部での水の移動に影響する

Root accumulation of water
1. 水のほとんどはコルク化した根を通してあつめられる
2. 維管束系に水が入るためには、3つのルートが可能:(a)アポプラストルート、水は多くの細胞の細胞壁を通って内皮まで達する(b)シンプラストルート、水はシンプラストに入ってシンプラストを通って維管束組織に入る(c)液胞ルート、水は液胞に入り、原形質連絡を通って液胞と液胞の間をわたり、維管束のアポプラストの水に入る
3. 水は上記の3つのルートをすべて通っていると考えられる(大半はアポプラスト経由)
Hydraulic conductance
1. 水力学的なコンダクタンスは、水力学的な組織の間の水ポテンシャルの勾配に対する、水の体積流量。
2. 維管束組織での水の流れに対する抵抗は、道管要素の直径、細胞間の結合の性質、維管束組織の断面積に依存
3. 一般的には、植物の器官の中では、根の抵抗が最大。水の水力学的なコンダクタンスは、維管束器官の中で最も低い

Capasitance
1. キャパシタンスは、ある部分に水ポテンシャルの変化を与えたとき、その部分から失われる水の量として定義される
2. キャパシタンスと抵抗は時間の関数として関連づけられ、蒸散がはじまるのに伴って起こる水ポテンシャルの減少率を示す
 
Cavitation
1. 木部の細胞に空気の塞栓がつかえるとキャビテーションが生じる。通常、塞栓はまず道管要素に生じ、ついで仮道管におよぶ
2. キャビテーションによって水の流路がかわり、水は直径の小さな道管にそれるため、木部の水力学的な抵抗は大きくなる。しかし、通常は、キャビテーションによって樹冠部の組織に強い脱水がおこることはない。

Transpiration
1. 蒸散とは、水が葉肉の細胞壁から蒸発し、気孔を通って乱流大気まで移動すること。
2. 蒸散には、主に4つの抵抗が定義される:
 a. 細胞間隙の大きさに依存する抵抗
 b. 気孔腔や気孔の形態に依存する抵抗
 c. 境界層の厚さに依存する抵抗
 d. 葉の表面の疎水性のクチクラに依存する抵抗
3. 蒸散は、気孔(蒸散の大部分)やクチクラ(気孔が閉じていたり、葉に損傷があるときにだけ重要になる)を通して起こる
4. 境界層の厚さは風の方向の葉の長さと風速に依存
5. 抵抗の逆数であるコンダクタンスが、葉の蒸散に対する影響を記述するのに主に使われる。モルの単位で表現され、蒸散に比例するから。

Measurement of plant water relations
Tissue water relations
1. 組織の含水率RWCとは、組織に存在するturgid water(膨圧に関係する水)の重量
2. 水分欠乏WDは水関係の研究によく使われ、十分に含水したときと比較して、どの程度組織から水が失われたかをあらわす。
3. 原形質分離がはじまるとき、(周囲の溶液の水ポテンシャルは)細胞の浸透圧に等しい
4. このテクニックは、組織の切片や、剥皮した表皮や、細胞の懸濁液を扱うときにすぐれている
5. 溶液平衡は、組織の水ポテンシャルを決めるための方法であり、異なる浸透溶液の中で重量のゲインやロスを測定する。
6. 溶液平衡は、実験室の外では適さない。それぞれの組織から複数のサンプルをとる必要があり、また溶液と水ポテンシャルを平衡させるために温度を一定にする必要があるため。
7. 蒸気圧平衡は溶液平衡と似ているが、組織を既知濃度の塩溶液の上方に保持する点が異なる
8. 熱伝対乾湿計では、組織の一部分を小さなチャンバに固定し、チャンバの大気の蒸気圧をサンプルと平衡にさせる。熱伝対システムが大気の蒸気圧をきめるのに使われる
9. 3つのテクニックが、大気の蒸気圧をきめるのに使われる
 a. 乾湿計では、熱伝対の結合部分に冷却電流を流すことによって結露を生じさせる。湿っているときと乾燥しているときの温度差が、蒸気圧の計算に使われる。
 b. 露点湿度計では、頻繁に小さな冷却パルスを用いることによって、湿っているときと乾燥しているときの温度差をきめる
 c. 等圧点のテクニックでは、大気が平衡した後に熱伝対の結合部を既知の塩溶液に入れる。溶液の水ポテンシャルに対する熱伝対の応答をプロットした直線を使って組織の水ポテンシャルが決められる
10. プレッシャーチャンバのテクニックは、水ポテンシャルを測定する最も簡単な方法であり、野外でもっとも利用しやすい
11. 茎や葉をプレッシャーチャンバに逆向きに(切り口を外側にして)セットし、切断面が湿ってくるまで圧力を加える。この時点で、チャンバの圧力は木部の圧ポテンシャルの反対に等しくなる

Tissue Water Potential Components
1. 膨圧は、プレッシャープローブシステムで測ることができるが、この方法は顕微鏡的な、実験室での利用に限られる
2. 膨圧は、組織の水ポテンシャルと、組織の浸透ポテンシャルを測って引き算をすれば求められる。しかし、ほとんどの浸透ポテンシャルを決める方法で、浸透ポテンシャルは過大評価されるため、膨圧は過小評価される
3. 野外の条件下で膨圧を決めるもっとも良い方法は、圧力-体積のテクニック。
4. 熱伝対乾湿計の中で組織を凍結させることによって浸透ポテンシャルを測ることができる。凍結によって膨圧がすべて失われるため。
5. 同様に、フレンチプレスによって組織から液汁が抽出される。抽出液の浸透ポテンシャルは、凝固点降下法によって浸透圧計で測定される。
6. 抽出された汁液や凍結させた組織では、浸透ポテンシャルは正確には測定できない。サイトソルがアポプラストの水で薄められるため。
7. 浸透ポテンシャルをはかる最も良い方法は、圧力ー体積曲線。このテクニックでは、シンプラストの水ポテンシャルだけを測定するから。
8. マトリックポテンシャルは、抽出された液汁からイオンを取り除き、溶液の水ポテンシャルを測定することによって測定できる
9. 圧力ー体積曲線は、平衡圧と、組織から滲出した水の体積比との関係をプロットしたもの。タイプIIのプロットは、平衡圧の逆数を、失われた水に対してプロットしたもので、より優れている
10. 圧力ー体積曲線によって、どのような水分欠乏や、水ポテンシャルに対しても、浸透ポテンシャルや膨圧ポテンシャルが決定できる
11. 圧力ー体積曲線によって、全体の弾性率や、組織のキャパシタンスも測定できる
12. 圧力ー体積曲線の予備的なテクニックがいくつかある。サンプルの大きさや、どの程度多くのサンプル数を必要とするか、また組織の性質によって、テクニックを選択する

Hydrodynamic Aspects of Water Relations
1. 水力学的コンダクタンスは、水ポテンシャルの勾配に対する水の流量の比であり、水の全流量と水ポテンシャルの勾配を測定することによって、インタクトの植物で測定できる
2. 茎の水ポテンシャルの勾配は、蒸散している葉と、蒸散していない葉の間の差として定義される
3. 根の水ポテンシャルの勾配は、土壌の水ポテンシャルと、植物の基部に近い、蒸散していない葉の水ポテンシャルとの間の差として定義される
4. 木部の水の流量は(a)ステムフローゲージ(b)葉の蒸散の測定(c)エネルギー供給の等式から推算
5.  茎や根の断面の水力学的コンダクタンスは、切除された切片の片方の端を水に浸して加圧するか、乾燥した方の端を吸引することによって測定される 
6. 蒸散は、蒸気圧の勾配(葉の内部表面と乱流大気の間)と、葉のコンダクタンスのかけ算。VPGともう一つの値を測定すれば、3番目の値が計算される
7. トランジエントポロメータは、密閉されたチャンバの蒸気圧の変化率を測定することによって葉のコンダクタンスを決める。このシステムは、湿度が変化して気孔コンダクタンスに影響するので、正確ではない。
8. ゼロバランスポロメータは、流量を調節した乾燥空気を葉の表面に送るため、測定するチャンバの湿度を一定に保つ
9. 定流量ポロメータの効果性は中間。湿度を一定にできるが、周囲の環境に合わせて湿度を制御するのではない
10. 蒸散の再計算は、周囲の葉の温度と蒸気圧から行う必要がある。葉温は測定を行っているチャンバの中の葉と少し異なっており、また、ゼロバランスあるいは定流量のポロメータでは、境界層の厚さが小さくなっているため。

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SELF-STUDY QUESTIONS

1.2つの球状のチャンバを、細い半透膜でできたチューブ(水の移動を防ぐ)でつなぐ。はじめ、2つのチャンバの溶液の体積と、溶解した溶質の濃度は等しい。次のような撹乱をくわえるとどうなるか?
(a)チャンバAの溶質の量を増やす
チャンバBからチャンバAに水が移動し、両者の溶質の濃度が等しくなったところで水の移動は止まる
(b)チャンバAの温度を上げる
チャンバBからチャンバAに水が移動し、両者の温度が等しくなったところで水の移動は停止
(c)チャンバAの高度を上げる
チャンバAからBに水が移動し、両者の液面の高さが等しくなる
(d)チャンバAの圧力を下げる
チャンバBからチャンバAに水が移動し、両者の圧力が等しくなる
(e)チャンバAを粘性の高い液で満たす
チャンバBからチャンバAに水が移動、両者の圧力が等しくなる

2.根の木部に水が入るルートにはどういうものがあり、また最も支配的なルートは何か
アポプラスト、シンプラスト、液胞の3つのルートがある。アポプラストを通るルートが支配的

3.水力学的コンダクタンスとキャパシタンスのもっとも重要な違いは?
キャパシタンスは時間の関数であるが、水力学的コンダクタンスはそうではない

4.水分が欠乏したり凍結したりしたときに、木部のキャビテーションの起こり易さを決める要因は?
低温で生じるキャビテーションは、木部の道管要素の管の直径が大きい方が起こりやすい
道管の方が仮道管よりキャビテーションが起こりやすい

5.葉と乱流大気の間の気温の差によって影響を受けるのは水蒸気拡散のどの経路か?どのように影響を受けるか?
葉の葉肉細胞の細胞壁表面から、気孔を通って、乱流大気まで拡散する経路。
気温の差が大きく、葉と乱流大気との間の飽差が大きいほど、葉からの物理的な水蒸気の拡散は起こりやすくなる。ただし、このような場合は気孔が閉じるため、水蒸気拡散は抑えられる。

6.葉の形態だけをかえて、最も蒸散が起こりやすい葉と起こりにくい葉を設計せよ
風が吹いている方向に果てしなく長く伸びている葉。蒸散が起きやすい。逆に、風の方向と直行する方向に伸ばせば、蒸散は小さくなる。
切れ込みの全くない、円形の葉は蒸散が起こりにくい(境界層が厚くなる)。針状に切れ込みが入っている葉は蒸散しやすい。

7.原形質分離、溶液平衡、熱電対乾湿計、プレッシャーチャンバ法の比較
原形質分離
良い点:小さな組織で測れる、正確
欠点:実験室でしか使えない
溶液平衡
良い点:原形質分離より大きな組織で測れる、正確
欠点:多数のサンプルが必要、実験室での利用のみ、時間がかかる
熱電対乾湿計
良い点:一枚の葉まるごと測れる、野外でも使える
欠点:キャリブレーションが面倒
プレッシャーチャンバ
良い点:簡単、野外で使いやすい、大きな組織で測れる、応用範囲が広い
欠点:危険、測定に熟練が必要、樹液や乳液を分泌するものには使えない、アポプラストとシンプラストの水が混じるので水ポテンシャルを過大評価する

8.浸透ポテンシャルをきめるのに抽出液や圧力ー体積曲線が使えるのはどのような場合か
抽出液が集められる程度の大きさのサンプルなら基本的には使える

9.圧力ー体積曲線を書いて、曲線上に重要なコンポーネントを示せ
図1

10.圧力ー体積曲線により得られる、水分欠乏に伴う水ポテンシャル変化によって、キャパシタンスや全体の弾性率を決める方法
図1

11.葉のコンダクタンスを測定する、トランジエントポロメータ、ゼロバランスポロメータ、定流量ポロメータのもっとも重要な違いは?
測定を行うチャンバの湿度を制御するかしないか。トランジエントポロメータは制御しない。ゼロバランスポロメータと定流量ポロメータは共に湿度を制御するが、前者は相対湿度を周囲とほぼ等しくなるように流_ハを制御、後者はチャンバに流す乾燥空気の流量を一定にして目的とする湿度にする